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土倉朝子さんの俳句ギャラリー
0109
日暮れの森ほの白くみゆえごの花
あるもので済ます梅雨の夕餉かな
梅雨入りや牡丹は艶に咲き崩る
梅雨半ば万緑の森に合歓目覚む
雨上がり茂りの中の合歓光る
透かし見る空の蒼さや木下闇
竹落ち葉つもるがままの留守の家
サワサワと葉ゆれ小鳥のすがたあり
母の日に届きしはなに部屋は華やぎ
花届く母の日部屋の華やぎぬ
日雷 響きに合わぬ小雨かな
荒川に影ゆらめけりもやい船
酷暑かなうなじに汗し帰路につく
花火音や夜空に輝く夏の月
人の世と花火を重ね花火見る
回想
棗の実屋根に上りて喰みし頃
鬼ゴッコ屋根走りたる遠き日よ
飛び跳ねし幼き昔オテンバッ子
夏の雲夢の世界といざなえり
郭公の声も涼しき夏暁の杜
爽やかな風通り行く夏暁の森
台風の爪痕がある森の中
森歩き蜘蛛の縄張り犯したり
木はうもれ葛丘二丘ここにあり
台風の爪痕やある森さやか
夏の朝森林浴へと一人悦
残暑かな落ち葉に秋の色のあり
森ベンチ四五匹の蚊におそわれし
0105
とつおいつ眠れぬ寒夜白みけり
とつおいつ夜空一面霜の満つ
ちりぢりの空見えにけり森の中
森の木々の枝の間から見えるちりぢりの空。見る人の心は揺れる。
春嵐悲鳴に似たる風の声
悲鳴を上げたのは風ですが、電線なども騒ぎます。
春嵐悲鳴をあげる電話線
腰痛に振り回されて五月入り
蝋梅の香りも嬉し部屋の中
蝋梅は香りです。しかもなまめかしい香りです。
この部屋を化粧部屋と妄想すると
化粧する部屋に蝋梅の香り満つ
化粧する部屋に薔薇の香染みにけり
冬木立赤富士の色夕陽かな
赤富士といえば北斎の絵が浮かびます。
冬木立背に赤富士は風の中
春の宵眠りは浅く反転す
眠るともなく眠りけり春の夜
散歩道キジに逢いけり春うらら
毎年同じ季節に同じ物に出会える幸福のようなもの。
この春もこのキジに逢う散歩道
春の宵日脚も伸びて雲流る
孫帰る日脚伸びけり春の宵
春一番足ももつれる帰り道
風に足もとられるが、風に身を任せて行こう。
帰り道春一番に任せけり
雪化粧寒林一切映えにけり
女正月氷川神社に初詣
小春日に招くが如く木立揺れ
春めいて日差しも温し縁に座す
ウインドの己が姿に背を伸ばす
便りなき友の安否や弥生尽
弥生尽芽吹き草萌ゆ枯れ野原
四月馬鹿ニヤリと笑みてすまし顔(孫)
一枝ゆれ桜花の中の小鳥鳴く
桜見ておぼろ月見てほど酔いて
花水木町並み白に塗り替える
春雨に芽吹きの杜は色めけり
沈丁花春風にのり香しく
春雨に煙りてかすむ露地通り
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